長南です。 ○ 名前: chfn - change your finger information chfn - finger 情報を変更する。 "your" は訳したほうがよいと思います。「自分の」が正しいのでしょうが、 root になれば、他人の情報も変更できるのですから、「ユーザの」でよいでしょう。 「chfn - ユーザの finger 情報を変更する。」 当然、「説明」の最初も「chfn は、ユーザの finger 情報を変更するために 使用する」か、「chfn を使えば、ユーザの finger 情報を変更できる」に なります。なお、chsh についても同じことが言えます。 ○ 説明: chfn is used to change your finger information. This information is stored in the /etc/passwd file, and is displayed by the finger program. The Linux finger command will display four pieces of information that can be changed by chfn: your real name, your work room and phone, and your home phone. chfn は finger 情報を変更するために使用する。 この情報は /etc/passwd ファイルに記憶されていて、 finger プログラムによって表示される。 Linux finger コマンドは chfn によって変更することが出来る 4 つの情報 (実 名、勤務先、勤務先電話番号、自宅電話番号) を表示する。 「記憶」というより「記録」じゃないですか。ディスクは確かに「記憶装置」 ですけれど、ここはファイルですから。 "The Linux finger command" も、「ほかの finger はいざ知らず、 Linux の finger は」と限定しているのでしょうから、「linux の finger は」と「の」を入れたほうがよいと思います。 あるいは、文の形を変えて、「Linux の finger コマンドが表示するのは、 chfn によって変更できる 4 個の情報である (ユーザの実名、勤務先、 勤務先電話番号、自宅電話番号)。」とするか。 訳例としてまとめておきます。 「chfn は ユーザの finger 情報を変更するために使用する (使用される、 の方がよいかも)。そうした情報は /etc/passwd ファイルに記録されていて、 表示は finger プログラムによって行われる。Linux の finger コマンドが 表示するのは、chfn によって変更できる 4 種の情報である。すなわち、 ユーザの実名、勤務先、勤務先電話番号、自宅電話番号だ。」 ○ any of the four pieces of information can be specified on the command line. If no information is given on the command line, chfn enters interactive mode. 4 つの情報どれでもコマンド行に指定することができる。 コマンド行に与える 情報がない場合、 chfn は対話モードに入る。 ちょっと舌足らずな感じがします。 「4 種の情報は、いずれもコマンドラインから指定することができる。 コマンドラインで情報をひとつも指定しなかった場合、chfn は対話モード に入る。」 ○ In interactive mode, chfn will prompt for each field. At a prompt, you can enter the new information, or just press return to leave the field unchanged. Enter the keyword "none" to make the field blank. 対話モードでは、 chfn 各フィールド毎にプロンプトが出る。 プロンプト で、新しい情報を入力することができる、 また、ただリターンを押すだけで フィールドを変更せずに出ることができる。 フィールドを空白に設定するには "none" キーワードを入力する。 「chfn 各フィールド毎」って何ですか。'chfn' は、消し忘れではないで しょうか。"to leave the field" の 'leave' は、「出る、抜ける」と 取れないこともありませんが、むしろ「そのままにしておく」の意味でしょう。 なお、「フィールド毎」のような接尾辞は、「フィールドごと」と平仮名にした方が きれいで、見やすいと思います。 「対話モードでは、フィールごとにプロンプトが出る。プロンプトに続けて、 新しい情報を入力することができる。フィールドを変更しないでおくには、 単にリターンを押すだけでよい。フィールドを空白にするには、"none" というキーワードを入力する。」 バリエーションをもう一つ。 「対話モードでは、フィールごとにプロンプトが出る。プロンプトが出たら、 新しい情報を入力すればよい。フィールドを変更しないでおきたければ、 単にリターンを押すだけだ。フィールドを空白にするには、"none" というキーワードを入力する。」 当方は debian なので、chfn や chsh は util-linux ではなく、 passwd パッケージのものです (shadow-utils 系らしい。作者が 違います)。それで、こうした記述を試してみることができません。 たぶん、大丈夫でしょうけれど。 ○ chfn supports non-local entries (kerberos, LDAP, etc.) if linked with libuser, otherwise use ypchfn, lchfn or any other implementation for non-local entries. chfn は libuser とリンクされていると、ローカルでないエントリ (kerberos, LDAP など) をサポートする。 リンクされていない場合は、ypchfn, lchfn ま たはその他のローカルでないエントリの実装を使うこと。 chsh にほぼ同文があります。「ローカルでないエントリ」という訳がわかりにくい のではないかという疑問は、そちらに詳しく書きました。ご覧ください。 ○ オプション: -f, --full-name full-name Specify your real name. 実名を指定する。 「ユーザの実名を指定する」の方がよいと思います。 ○ CONFIG FILE ITEMS 設定ファイルのアイテム ITEMS は「項目、条項」でよいのでは。「設定ファイルの項目」。 すぐ下の説明部分にも "The following configuration items" というところがあります。'items' といいながら、ひとつしかありませんけれど。 ○ The boolean setting "yes" means that only the Office, Office Phone and Home Phone fields are changeable, and boolean setting "no" means that also the Full Name is changeable. ブール値の設定 "yes" は、勤務先住所、勤務先電話番号、自宅電話番号の フィールドが変更可能であることを示す。 ブール値の設定 "no" は、実名 も変更であることを示す。 細かいことですが、"only the Office, Office Phone ..." の 'only' が抜けています。'also' と呼応しているのですから、訳出した方が よいでしょう。また、「実名も変更であることを示す」と、「変更可能」の 「可能」が抜けています。なお、「さらに実名も」と強調した方がよいかも しれません。 ○ Another way to specify changeable fields is by abbreviations: f = Full Name, r = Office (room), w = Office (work) Phone, h = Home Phone. For example, CHFN_RESTRICT "wh" allows changing work and home phone numbers. 変更可能なフィールドを指定する、もう 1 つの方法は省略形: f = 実名 (full name), r = 勤務先住所 (room), w = 勤務先 (work) 電話番号, h = 自宅 (home) 電話番号を使うことである。例えば、CHFN_RESTRICT "wh" は、 勤務先電話番号と自宅電話番号を変更できる。 コロンは、日本語にはない句読点ですから、その意味が読者に直感的にわかる ところ以外では、使わないほうがよいと思います。文中ではなおさらです。 abbreviations はここでは「略語、略号、短縮形」もあります。 訳例を挙げると、 「変更可能なフィールドを指定するもう一つの方法は、略号を使うことだ。 すなわち、f = 実名 (full name)、r = 勤務先住所 (room)、w = 勤務先 電話番号 (work)、h = 自宅電話番号 (home) である。たとえば、 CHFN_RESTRICT "wh" と指定すれば、勤務先電話番号と自宅電話番号が 変更できることになる。 ○ AUTHOR 著者 「著者」より「作者」の方がよいのではないかということは、chsh でも 書きました。 -- 長南洋一