第0章 Linuxカーネルの構成要素

 約3年間の開発期間を経て、ようやくLinuxカーネル2.6が姿を現しました。2.6は、新機能という点では2.4と比べてそれほど目新しいものはありません。その一方、実行効率という面では、大きく改善されており、とくに大型のシステムで効果を発揮します。実行効率を向上させるために、Linuxカーネルの実装は大きく書き直されました。

 本章では、カーネルのひとつひとつの機能の詳細を見ていく前にカーネル全体の構造を眺めてみます。次の章から、実際のカーネルの機能ひとつひとつについて詳細にその設計方針と実装を解説していきます。カーネルの動きを理解するにあたっては、常に全体の動きをイメージしたうえで、個々の機能を考える必要があります。多少分からないことがあっても一度読み切っていただき、動作例を見ながら何度か読んで、自分のモノにしてください。新しいLinux時代に身に着けたい、動作の根本であるカーネルについて、0からスタートして完全把握を目指しましょう!