長南洋一
cyoic****@maple*****
2012年 5月 20日 (日) 15:35:23 JST
長南です。 「配布中止」案の残りも見てみました。それで、わかって来ましたが、 元木さんとしては、JM の扱う man ページの整理をなさりたいのですね。 何と何は、最新版を提供できるように JM の力を重点的に注ぐ。何と何は、 最新にこだわらず現在のものを置いておく。何と何は、JM の翻訳管理というか、 翻訳計画から取りあえず外す、という具合に。 それで、「配布中止」案を見ると、翻訳管理から外すものの候補には、 いくつかのタイプがあるようです。 1) 翻訳の申し出はあったものの、原稿が提出されまいまま、何年も 経っているもの。dump, e2compr-ancillary, fdutils, majordomo, smartmontools など。 これは管理から外して当然だと思います。できたら、翻訳志願者に その旨を連絡した方がよいと思いますが。 2) 最近の Linux では使われなくなったプログラムのマニュアル。 ipchains, ipfwadm, nfs-server など。 こういうものは、今でも使っている方のところには日本語のマニュアルが (必要なら) あるでしょうから、JM で配布しなくても問題なさそうです。 3) 最近のディストリビューションの標準的な配布にプログラムが含まれて いないもの。bs, bad-games, bsd-games-non-free など。 このタイプには、rogue や nethack のマニュアルがあるのですね。 うーん、なつかしいなあ。こういうのは、JM の配布には含めず、必要な 人がダウンロードできるようにしておくだけでよいと思います。 4) 開発関係でバージョンが古くなっているもの、 わたしには判断できません。ただ、gcc については FreeBSD jpman に 4.2.1 の翻訳がありました。 5) サーバ関係でバージョンが古くなったもの。 これもわたしにはよくわかりませんが、メジャーバージョンが違ってしまった ものは、原則として配布から外してもよいのではないでしょうか。 もっとも、「細かいことを確認するときは英語版を使うから問題なし。概観を 知るには前のバージョンでも翻訳があった方が便利」、と考える方もいるで しょうけれど。 6) ユーザコマンドでバージョンが古くなったもの。 7) gnumaniak 関係。(gnumaniak は GNU_fileutils, GNU_sh-utils, GNU_textutils ほかの代替。GNU_fileutils などは現在は coreutils に統合)。 これは複雑な気持ちです。coreutils の基本コマンドについては、初心者に とって今でも gnumaniak の方が役に立つと思います。いや、初心者どころか、 わたし程度のレベルなら、gnumaniak の man の方が役に立ちます。ですから、 わたしとしては、JM の配布には両方を含め、coreutils の新しいマニュアルを 一応デフォルトにしておいて、実際にどちらを使うかは、ディストリビュー ションのパッケージャの方に任せる、そのへんが妥当ではないかと思います。 # ついでに言うと、gnumaniak のマニュアルにはすべて「このマニュアルの # 説明は古いかもしれないので、疑問点があったら、info で確認して # ください」と付記しておいたら、どうでしょう。 以下は、ユーザコマンドなどの具体的なチェックです。 cdparanoia: 配布中止でよい。 GUI アプリが一般化していても、コマンドラインで使用するアプリに ついては、man があるならば、原則として配布した方がよいと思います。 しかし、cdparanoia については、開発元のパッケージの中に日本語 マニュアル (III-alpha9.8 ですが) が含まれているので、JM で配布する 必要はないでしょう。 cdrecord: 配布中止でよい。 今はどのディストリビューションでも cdrecord からフォークした wodim の 方を使っているのではないでしょうか。dev= の指定方法についてさえ 推奨するやり方が違ってしまっているので、翻訳を残しても、混乱の元に なるかもしれません。wodim の man の翻訳があるとよいのですけれど。 dhcp: debian squeeze には isc-dhcp-client と isc-dhcp-common が入っていて、 バージョンは 4.1.1-P1-15+squeeze3 です。dhclient(8) と dhclient.conf(5) の man を、現在の英語版と翻訳とで比較してみましたが、メジャーバージョンが 上がっているのに、内容はそう変わっていません (こういうのがあるから、 残すか捨てるかの判断は難しい)。IPv6 の記述が追加されたことと、 設定ファイルで使うキーワードがいくつか増えたことぐらいです。 なお、squeeze では、dhclient などの man の翻訳は、manpages-ja ではなく、 isc-dhcp-common パッケージに入っています (JM のものとまったく同文)。 開発元のパッケージにすでに含まれているということなんでしょうか。 dhcpcd: 配布中止でよさそう。 Web で探すと、dhcpcd-5.5.6 というのも見つかりますが、これは別物ですか。 もし同じものだとしたら、メジャーバージョンがさすがに違いすぎると 思います。 flex: 残しても大丈夫では。 開発ツールですから、わたしにはわかりませんが、マイナーバージョンが 同じですから、今でも用が足りる可能性は高いのでは。 hdparam: 配布中止でよさそう。 "DESCRIPTION" さえ変わっていますし、オプションもかなり増えています。 冒頭の訳注で「基本的にはすべてやや古い話である」と断っているので、 ちょっと惜しい気がしますが。 mpg123: どちらでもよい。 オプションが増えていますが、基本的な使い方は変わっていませんから、 あればあるで、役に立つと思います。でも、使い方が簡単なだけに、 日本語マニュアルがなくても、そんなに困らないだろうとも言えますし、 さすがにバージョンが古いし。 ncftp: 配布中止でよさそう。 "DESCRIPTION" を見ただけでも、かなり変わっています。 「コロンモード」というのは、なくなったようです。ncftpput と ncftpget コマンドがその代わりなのでしょうかか。 ncurses: この man ページの英語版は、今では curs_window.3x.html になっているの ですね (debian squeeze だと、/usr/share/doc/libncurses5-dev/html/man /curs_window.3x.html)。 pcmcia-cs: debian squeeze を auto-apt で調べても、bin/cardinfo や sbin/cartctl が見つかりません。sbin/pccardctl なら admin/pcmciautils にあるのですが。 procinfo: 配布中止でよい。 debian squeeze でも procinfo-ng になっています (パッケージ名は procinfo)。 それに、新しい man の原文にこんなことが書いてありますから。 "Some features of the original procinfo were elided, as they were considered non-useful, especially as many of them don't change anymore, and have better utilities for listing/displaying them." rdate: どちらでもよい。 古いものとは言え、言っていることは最新版らしきものとほとんど変わり ません。この man を捨てるとしたら、理由は、使っている人が今いるのか ということぐらいだと思います。でも、それは JM の言うべきことかどうか。 rssh: 配布中止でよい。 確かにこのマニュアルは、ずいぶん書き変えられていますね。 -- 長南洋一