Benizara / 紅皿 ver.0.1.1
キーボード配列エミュレーションソフトウェア
作者:綾木 健一郎
平成30年10月7日
1.始めに
1.1.何をするものなのか
Benizaraは、Windows環境に接続されたJISキーボードで親指シフト (NICOLA配列) による入力を可能にするエミュレーションソフトウェアです。Windows7のMS-IMEとATOK2011、およびWindows10のMS-IMEで動作を確認しています。なお、Benizaraは、設定ファイルを読み込ませることにより、親指シフトに限らず、任意にキーボード配列のエミュレーションが可能です。
Benizara(紅皿)の名前は、太田道灌の山吹伝説に由来します。
1.2.特徴
・Windows10のストアアプリや、Microsoft Edge上でも親指シフト入力が可能です。
・やまぶきと同様に12面のシフトモードを実現し、やまぶきの配列定義ファイルをある程度まで読込可能としました。
・やまぶきの打鍵ロジックを参考に実装し、かつ連続シフトモードをサポートしています。よって、やまぶき(やまぶきR)からの移行は容易とおもいます。
・Benizaraは、AutoHotKeyのスクリプトを実行ファイル化したものです。ユーザモードでキーフックするタイプのエミュレータなので、導入も停止も簡単です。USBメモリで持ち歩くこともできます。
・親指の友Mk-2 キーボードドライバ V2.0L23に実装された「零遅延モード」を、当該ソフトにも実装しました。零遅延モードとは、親指シフト時の表示遅延をゼロにして、高速打鍵を可能とするモードです。
1.3.未だ実装していないこと
・機能キーの切り替え、単独打鍵の有効・無効の切り替え、キーリピートの有無の切り替えは未だ実装していません。
1.4.入力速度ベンチマーク
・落語「じゅげむ」の名前を入力するベンチマークで評価しました。具体的にいうと「じゅげむじゅげむごこうのすりきれ かいじゃりすいぎょのすいぎょうまつうんらいまつふうらいまつ くうねるところにすむところ やぶらこうじのぶらこうじ ぱいぽぱいぽぱいぽのしゅーりんがん しゅーりんがんのぐーりんたい ぐーりんたいのぽんぽこぴーのぽんぽこなーのちょうきゅうめいのちょうすけ」を仮名入力する時間を計測するものです。このベンチマークは、今井士郎さんのブログを参考にしました。
・自分が「じゅげむベンチマーク」を実行した際の親指シフト入力の最速は45秒、平均は55秒でした。なお、ローマ字入力の最速は75秒、平均は80秒でした。
2.使い方
2.1.取り扱い種別
Benizara(紅皿)はフリーソフトウエアであり、IME.ahk, Path.ahkを除く各ソースコードはMITライセンスの下で再利用可能です。なお、Benizaraのソースコードのうち、IME.ahk, Path.ahk は、eamatさまが作成されたライブラリです。
2.2.動作環境
Windows7とWindows10で動作確認していますが、NT系のWindowsならば、どの環境でも動作する筈です。IMEは、Atok11とMS-IMEで動作確認しています。
2.3.インストール方法
(1)Benizara_011.zipを所望のパスに解凍してください。
(2)setup.exe を実行してください。インストールか完了すると、お使いのJIS109キーボードが親指シフト (NICOLA配列) に切り替わります。
3.紅皿設定の説明
タスクトレイの紅皿アイコンを右クリックして、紅皿設定をクリックすると以下の設定ダイアログが表示されます。各タブの下のOKボタンをクリックすると変更が反映され、キャンセルボタンをクリックすると変更が破棄されます。
3.1.配列タブ
配列定義ファイルを表示し、かつ切り替える機能を備えたタブです。
その下側には、配列のモードと、そのときのモード名とキー配列が表示されています。
「…」ボタンをクリックすると、ファイル選択ダイアログが開き、配列定義ファイルを選択可能となります。
配列のモードのコンボボックスを選択することで、キー配列の表示が選択したモードに切り替わります。
3.2.親指シフトタブ
親指シフトに関する設定画面です。
・親指シフトキーのコンボボックスは、変換-無変換と無変換-空白が選択可能です。
無変換-変換を選択した場合、無変換キーが左親指キー、変換キーが右親指キーです。
無変換-空白を選択した場合、無変換キーが左親指キー、空白キーが右親指キーです。
・連続シフトのチェックポックスは、親指シフトキーの押下中に、連続してシフトモードの文字を入力するためのものです。推奨設定はオンです。
・零遅延モードのチェックポックスは、キー押下と共に遅延無く文字を出力する「零遅延モード」をオンするものであり、推奨設定はオンです。この零遅延モードは、親指の友Mk-2キーボードドライバ(聖人さま作)の機能を参考としました。
・単独打鍵は、ver0.1.0では無効に固定です。将来の拡張のために表示されています。
・キーリピートのチェックボックスは、無効に固定です。将来の拡張のために表示されています。
・文字と親指シフトの同時打鍵の割合は、20~80[%]の間で可変です。親指シフトキーの押下に対して文字キーの押下が重なったとき、この割合を満たしたならば同時打鍵となります。推奨値は40~60%です。
・文字と親指シフトの同時打鍵の判定時間は、10~400[mSEC]の間で可変です。NICOLA規格では、50~200[mSEC]が推奨されています。
推奨値は、連続シフトの場合で50[mSEC]、連続シフトしない場合で150[mSEC]です。
3.3.紅皿についてタブ
バージョン情報や紅皿の概要が書かれたタブです。
4.キー配列(デフォルト)
紅皿は、やまぶきと同様に、ローマ字モード6面と、英数モード6面の全12面のキーボードレイアウトを持っています。ローマ字モードは、IMEをローマ字入力のひらがな・全角カタカナ・半角カタカナに設定したときのモードであり、英数モードは、IMEを全角英数・半角英数・直接入力に設定したときのモードです。以下表に、各レイアウト名とシフト操作との関係を示します。
レイアウト名 |
シフト操作 |
ローマ字シフト無し |
シフト無し |
ローマ字右親指シフト |
右親指キーと共に文字キー打鍵 |
ローマ字左親指シフト |
左親指キーと共に文字キー打鍵 |
ローマ字小指シフト |
小指シフト |
ローマ字小指右親指シフト |
小指シフトした状態で、右親指キーと共に文字キー打鍵 |
ローマ字小指左親指シフト |
小指シフトした状態で、右親指キーと共に文字キー打鍵 |
英数シフト無し |
シフト無し |
英数右親指シフト |
右親指キーと共に文字キー打鍵 |
英数左親指シフト |
左親指キーと共に文字キー打鍵 |
英数小指シフト |
小指シフト |
英数小指右親指シフト |
小指シフトした状態で、右親指キーと共に文字キー打鍵 |
英数小指左親指シフト |
小指シフトした状態で、右親指キーと共に文字キー打鍵 |
4.1.ローマ字モード
ローマ字シフト無し
ローマ字右親指シフト
ローマ字左親指シフト
ローマ字小指シフト・ローマ字小指右親指シフト・ローマ字小指左親指シフト
4.2.英数モード
英数シフト無し・英数右親指シフト・英数左親指シフト
英数小指シフト・英数小指右親指シフト・英数小指左親指シフト
上記のレイアウトは、紅皿が読み込むキー配列ファイルによって変更することができます。
5.アンインストール方法
タスクトレイの紅皿アイコンを右クリックして、Exitをクリックしてbenizaraを停止させます。
更にコントロールパネルのプログラムのアンインストールから、benizaraを選択してクリックしてください。
6.作者への連絡方法
Linkedin:https://www.linkedin.com/in/ken-ichiro-ayaki-965b2a8a/
Mail: kenichiro_ayaki@users.osdn.me
7.配布ファイルとその構成
Benizara.exe ・・・ 紅皿の実行ファイルです。
Benizara.ini・・・紅皿の設定情報ファイルです。
NICOLA配列.bnz・・・NICOLA配列のファイルです。
Dvorak配列.bnz・・・Dvorak配列のファイルです。
NICOLA配列_仮名直接入力.bnz・・・タイプウェルで仮名文字を入力する際の配列です。
以上